幽閉のロック デニスウイルソン
寄る辺なき道を走るわけ>デニスウイルソン>幽閉のロック>https://youtu.be/iB6REIZ5GbM
奴とこのアサイラムで邂逅したのは運命的に思えるのだ。なぜならロック者の踏み絵としてのあの「無人島レコード」の一発回答にキャプテンビーフハート、鯉のやつと答えたからだ。ムムム、お主「無人島で聴く要素は何もないんですけどね」だと。これは本当の虚無だ。ロック者の持ち得る最大の防衛機制だ。不幸なことこの上ないけど。
油断した。無人島レコードはロック者の命を懸けた、存在証明のバトルであったのだ。挨拶がわりに出した俺の回答はペッサウンズ、ブライアンウイルソンだったんだが、やつは誠実に「それは正解で」と言いながらハルブレインのドラムの音を口で再現した。幽閉されたこの無機質な施設の中で。萎えた手足しかなくてもロックはスピリッツなのだと、完璧に、感動的に、リズムを、歌った。
そして言ったのだ。「デニスウイルソンはどうですか?リバーソングは雄大ですよ。、兄貴とは違うけど、彼岸の音楽ですよ」帰りの車で速攻聴いた。ああそうだ、ああこれだと何度も頷いた。包まれた、喜び感じた。ドラムの音に聴き入った。神のみぞ知るサウンドに、震えた。
たとえこの世の困難の全てが降りかかることになっても、ロック者には音がある。この胸に頭に血肉になって駆け巡るミュージック、幽閉のロック。生きているのだ。生きるのだ。